地方議員のための議会改革講座

講師   専修大学法学部 小林弘和教授

1、今日の自治体がおかれた状況
  ★情報公開・情報社会の問題点
議会は原則公開である。インターネット上での議会から発する個人情報とプライバシーの問題がある。誰でも見ることができる情報と、手段の上から見られる情報を区別する必要がある。
  ★30年前との地方自治の差
30年前は玄関の外だけを自治体が管理していた。現在は玄関の中(高齢者福祉etc・・)まで自治体の役割が必要となっている。 
 ⇒地方議員への期待・役割が大きくなってきている

  ★地方自治法
明治の時と考え方は変わっていない
  ★区域
自治体には区域がある。誰が住民なのか?現在は協労型の自治であるが、NPO法人など住民でない組織もある。したがって地方自治の住民は区域住民だけではないといえる。(但し民意は有権者)
  ★歳入
区域住民だけでなく土地を持っている方も税金を支払っている。納税者は区域住民だけではない。
 ⇒住民・NPO法人・納税者・学識経験者などがおり行政区域が1つでなくなってきている

2、新時代に求められる自治体・議会の改革と課題
  ★なぜ地方分権なのか?
2004年4月より機関委任事務が廃止され、地方分権の時代となってきた。また機関委任事務の廃止に伴い自治事務の量が増大してきている。
 ⇒議会も当然勉強しなければならなくなってきた

機能権限は国から地方にきたが中身は国の不要なものが多い。住民が行政に対し求めるものが多くなり、行政改革・地方分権が必要な時代になってきている。
  ★議会がどのように変わるか?行政の守備範囲は?
行政への「参加型」から「協労型」へシフトしていくべきである。また議員は、議場だけが発言の場ではなく、市民の中に入っていき発言することも必要である。
  ★議会の見方
住民は「議会」を重役会議とみている。議会(議員)は監査会とみている。住民が求める議員・議会像が乖離しており、住民と議会(議員)は「議会」に対しての見方に差があるといえる。これからは2元代表制の現実認識が必要である。

3、自治体が直面する主要課題と議会の重要性
  ★今日における4K⇒『高齢化・国際化・高度成長化・環境問題』
縦割り行政の調整は議会の仕事であり、その他総合的に調整する役割も求められる。以上より議員は広い知識と多種多様な技術が必要であるといえる。
  ★行政評価システム
議会こそが行政を評価する場であり、議会は行政を評価するための情報収集が必要である。(常任委員会でアンケートをとるなど行政がすることを議会が行う)また低いレベルから行動を移していく事が必要であるといえる。
 ⇒議員こそが行政評価システムである

4、今後の地方自治のあり方と議会改革の方向性
  ★住民にわかりやすい議会の工夫
傍聴しやすい議会、一般の方が来やすい議会にする。具体的には分かりやすい言葉に代える、分かりやすい資料の作成など。また、議場をもっともっと討議の場にする必要がある。
  ★議会審議の活性化
誰もがわかりやすい1問1答式にするのもよい。またそうすることで、討議しやすい場に変えられる可能性がある。
  ★政策の場としての議会の重要性
市民に「自分自身が主役」と認識してもらうことが必要である。またポイントを押さえた政策の議論の場にする必要がある。
  ★情報公開とアカンタビリティー(説明責任)の重要性
形にとらわれず中身がわかりやすく楽しい議会にすることが必要である。夜間議会は経費の問題や一時的にしか傍聴に来てもらえないなどの問題があるといえる。

5、これからの議会と議員のあるべき姿
 
★今後の議会のあるべき姿
議会は集合体であり議決の際は最低過半数が必要である。議会は議員一人ひとりの質的向上に努め、議会としての政策形成能力を高めていかなければならない。また、市民との交流を深め議会の活性化へと繋げていくべきである。「政務調査」については、国民は不信感をもっている。申請主義でもいいのではないか。これからは市民・議会・行政の3者間で危機意識の共有をするようにすべきだ。尚、議員は悪い事を含めた現状を市民にしっかりと説明できるリーダーになることが必要である。
  ★市民による多面的な議員の評価の流れ
歳費の減は議会改革ではない。(民意はそうであるが)
『アメリカ型議会』の特徴としては議員が少数ということが言える。スタッフは5人〜10人程度で高報酬である。
『ヨーロッパ型議会』は逆に議員が多数であり無報酬である。

  ★厳しい財政状況下での自治体経営の推進と議会の役割
議会は政策のビジョンを示す場である。議員は地域のことだけの地方議員とはならず、自治体の将来の展望を示し、先を考えた議会運営をしていくべきである。また、市民と議会の間で行政の役割分担を行う必要があるといえる。


               以上 日本経営協会(NOMA)行政講座報告     2008年2月8日 丸山 勝総